診断のプロセス

ここでは自閉症の診断について焦点を当てて記していますが、特別な教育的ニーズや障害のある子供たちについての大まかな診断の流れとしても参考にしていただくことができます。

英国の自閉症診断には様々なルート・例外が存在します。個人の状況や医療機関・行政による違いも大きく、一概に述べることは困難です。
以下に掲載されているルートは最も一般的な診断プロセスとなります。

受診のきっかけ
きっかけは様々です。保護者の感じる違和感が始まりである場合もあれば、Health Visitorによる健診(日本での乳幼児健診的立ち位置)での指摘や、保育園や学校での問題行動によりSENCOが打診をするかもしれません。


受診
NHSの小児科に自閉症について相談をする場合は、まずGP(かかりつけ一般医)を受診し紹介をしてもらいます。子供が就学前の年齢の場合、Health VisitorまたはGPは、M-CHAT と呼ばれる「スクリーニング面接」を実施することがあります。これは診断を与えるものではありませんが、子供が自閉症である可能性を評価する1つの指標になります。

小児科への紹介
GPがさらなる精査が必要と判断した場合、小児科医への紹介を行います。
自治体によっては児童発達サービスグループ(医療、看護、療法、教育、社会サービスなど)というものが存在します。これは児童精神科や早期発達支援チーム、専門の看護師、言語理学作業療法といった専門家で構成され、小児科や他専門機関への紹介について決定を下します。ここでWaiting Listに載ることになり、受診までの連絡を待つことになります。

小児科、その他専門機関からの評価
受診し診断のために必要な検査・評価が行われます。(日本とは違う診断ツールを使用します。これが日本での診断書が受け入れられない場合がある1つの理由です)時間をかけて行われることが多く、どの段階で診断が下るかは個人によって大きく差があります。

☆自治体によって、診断の管轄がや機関名、専門家チームの体制が異なることがあります。NHSでの診断を受ける場合は特段の希望がない限りは自治体ベースのシステムで進んでいくことが多いため、必ずお住まいの地域のシステムをGPおよびローカルオファーなどで確認して下さい

番外編:プライベート病院での診断について
NHSを使用せずプライベート病院により診断を受けることもできます。この場合待ち時間を短縮することができますが、自費診療となり高額の医療費が発生します。また、自治体によっては支援を受ける際、Private病院の診断書が十分な証拠として受け入れられない場合があり、注意が必要です。コロナ禍の影響によりプライベート病院における診断の取り扱いも変化しているため、個別に確認が必要になります。

※②と③の間、言語療法や作業療法、心理師などの専門家に紹介してもらい、サポートを受けることもできます。GPや親、学校のSENCOが紹介を行うことが多いです。(これについてもWaiting Listが存在する場合があります)年齢によっては自治体のEarly Year Support Teamに紹介してもらい療育プログラムなどの包括的な支援を受けることができる場合もあります。これらは各地方自治体によってサービス内容が異なります。お住いの自治体のローカルオファーをご確認ください。

診断までの大まかな流れについて説明しているサイト(下記をクリック)
National Autistic Society ‐自閉症の診断を依頼する方法について
NHS-どのように自閉症の評価を受けるか